子宮摘出時の尿管損傷について医師の責任を認めたケース

東京地裁 平成13年3月21日 判タ1770号109頁 
子宮摘出時に子宮と膀胱を剥離し、周囲の静脈から出血したため絹糸で結紮した。手術の閉創前にインジゴカルミンを静注する方法で尿中にインジゴカルミンが排泄されたことから尿管損傷はないと判断した。その後、役10日で退院したが、尿失禁が出現し、DIPなどの検査で左水腎症、左尿管損傷疑いと診断され、腎外瘻術が行われ、その後、尿管再建術が行われた際に、左尿管が結紮されていることが判明した。判決は、尿管損傷について、損傷することはやむを得ない場合があるとしながらも、術中、術後に尿管損傷を疑う異常が発見されたときには、直ちに必要な医療措置を講ずる義務を怠ったとして医師の責任を認めた。

尿管損傷は、産婦人科手術では頻度の高い合併症である。尿管損傷を防止する措置としては、(1)周囲組織から尿管を隔離・露出させて手術を行う方法や、(2)あらかじめ尿管がわかりやすくなるようにステントを挿入しておく方法などもある。それでも、損傷自体が避けられない場合については、術中、術後の経過観察によって対処が可能である。このケースでは、尿管を損傷したこと自体よりも、その後3週間、経過観察を怠ったことで水腎症、尿管再建術が必要になったことが問題だと判断された。