ステロイドの副作用について医師の責任を認めなかった

東京地裁 平成4年5月22日 判例時報1467号75頁
顔面への副腎皮質ステロイド外用薬の適応について、使用量・使用期間を必要最低限とし、その間慎重な経過観察により、副作用を早期に発見するよう努めなければならないが、医師の処方の仕方、経過観察を行っていたことから、医師の責任を否定した。
アトピー性皮膚炎については、一時期、「ステロイドは怖い」というような風評があり、患者側がステロイドを漫然と投与されることに対して不信感を持つというトラブルがあった。このケースでも、アトピー性皮膚炎の治療に副腎皮質ステロイド外用薬を2年半投与し、顔面のステロイド性皮膚炎が起こったとして、医師に責任追及した。

実際には、ステロイドの消炎作用は全身の疾患に対して有効であり、皮膚科にとどまらず多方面でステロイドは使われる。なぜか、その副作用ばかりが強調されるが、医薬品として効果があることも確かで、その副作用とのバランスをどうとるのか、が医師の力量になる。そのため、ステロイドの効果が弱いものから始め、効果が見られなければ段階的に強いものにすることや、外来での経過観察が重要になる。このケースでは、医師が、作用の弱い薬剤を選択したこと、アトピー性皮膚炎に対する効果と副作用の効果のないことを確認しながら経過観察していたことなどを考慮して医師の責任を認めていない。しかし、処方の方法として、副作用の出現を観察する視点がなければ、医師の責任が認められる余地もある。