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入院患者の転落事故については医療機関の責任が認められるケースが多い

窓柵、ベッド柵などの物理的設置が行われていないために転落したようなケースでは、基本的に医療機関側に責任が認められているケースが多い。
例えば、両下肢麻痺で入院している高齢者が窓から転落したケース、幼児のベッドサイド転落防止安全柵を看護師が下ろしてナースステーションに戻ってしまった間に転落して脳障害が生じたケース、痴呆症の患者がベッド柵25㎝を乗り越えて転落したケースでは、柵があったにもかかわらず頻回に巡回する義務を認めているものさえある。反対に、物理的にベッド柵や、空調機があって転落する可能性が低い状況にあったケースでは転落事故が予測困難であったとされたケースもあるが、例外的である。

医療機関としては、頻繁な巡回監視、夜間帯での抑制帯の使用などの工夫、ベッド、窓への高い柵など具体的な措置を要求されることが多い。ここのケースで、具体的危険性は異なるが、転落が予測可能な状況であったと評価されれば、医療機関の責任は認められやすい。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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