Q.なぜ、医療訴訟では、医師の意見書(私的鑑定意見書)が必要だといわれるのですか?

A.医師の意見書(私的鑑定意見書)は、医療の現場で活躍する医師から見て、訴訟になっている医療行為が正しかったといえるかどうかを証明する、重要な書証です。教科書に載っているような一般的な医学的知見は、医学文献を提出することで立証できますが、実際に、教科書どおりに運用されているとは限りません。問題になった当時の医療水準にかなった適切な医療行為であったか、という観点から立証する必要があるので、医学文献だけでなく、専門医が作成した私的鑑定意見書によって証明する必要があります。
 私的鑑定意見書は、意見書を作成した医師の署名と捺印のある顕名が必要であり、医師の氏名を明示しない匿名の意見書は、形式的証拠能力(民訴法228条)に問題があるため裁判所に証拠として評価してもらえない可能性があります。そのため、名前や経歴を明らかにして意見書を書いてくれる専門医の存在が非常に重要になります。