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原因不明の呼吸停止、カルテ調査の結果、睡眠薬を飲まされすぎて死亡の医療ミス!

2017年03月30日 | コラム

原因不明の呼吸停止、カルテ調査の結果、睡眠薬を飲まされすぎて死亡の医療ミス!

現代は、睡眠薬なしで寝られない方がたくさんいます。軽い気持ちで近くのクリニックでもらった睡眠薬が、命取りになったケースを紹介します。

睡眠薬で呼吸停止?

整形外科の手術をするためにある総合病院に入院した60代の男性。日ごろ、寝つきが悪いので近くのクリニックでベンゾジアゼピン系睡眠薬をもらっていました。整形外科の手術を受けるにあたって、いつも飲んでいる睡眠薬も報告しましたが、その病院には同じ薬剤がなかったため、同じ種類の薬剤に変更してもらい、毎晩飲んでいましたが、いつものように効果がみられず、なかなか寝られません。寝られないと訴えると、さらに、別の睡眠薬を追加されました。また、手術が終わってから痛みもあり、不安が強くなったため、日中に内服する抗不安薬も追加になりました。

睡眠薬と抗不安薬は同じ成分?

ここで抗不安薬と睡眠薬はベンゾジアゼピン系という同じ系統の薬剤で、気づかないうちに3種類の薬剤が投与されることになってしまっていました。整形外科の担当医は、そのことにあまり意識はありませんでした。手術が終わって痛みも落ち着いてきた10日目に、そろそろ退院も考えているころ、夜中に、ベッドの上で呼吸停止しているところを発見され、死亡しました。

睡眠薬と医療ミス

ベンゾジアゼピン系の薬剤は、呼吸抑制という副作用があります。呼吸がゆっくりになったり、最終的には止まってしまったりします。睡眠薬であるため、睡眠中に呼吸が止まっても気づかれず、静かに亡くなってしまうことになってしまいます。若年の方であれば、薬の効果が効きすぎることはあまりありませんが、高齢者の場合、気づかない間に薬剤の解毒作用が弱くなり予定している以上に薬の効果が長引いたり、強くなりすぎたりします。このケースでも、薬を追加投与していく中で、呼吸状態を示す酸素飽和度が徐々に低下していたにもかかわらず、問題視されることなく死に至っていました。ご家族の意向で、訴訟にはなりませんでしたが、薬剤副作用機構PMDAに薬剤副作用であると認められ、700万円以上の給付金の支給が決まりました。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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