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交通事故の後、主治医はきちんと評価してくれましたか?

2017年03月30日 | コラム

交通事故で外科的な手術をした後、元の状態よりも悪い状態になってしまい改善しないことを後遺障害といいます。交通事故の後、保険会社から治療費などを出してもらう際に、この後遺障害がどの程度あったかが問題になります。

通常は、自分の主治医が「〇〇程度の後遺障害がある」という診断書を作成してくれるので、それに基づいて計算することになります。

しかし、自分の主治医が、自分の後遺障害をきちんと評価してくれているかは患者さんにはなかなかわかりません。また、心ある患者さんほど主治医の気分を害するのではないか…と考えて率直に聞いてみることもできません。

実際には、整形外科、脳外科、神経内科、外科、形成外科などの複数の科が複雑に関係する後遺障害も多く、複数の視点から適切に評価してもらえているかどうかは再検討の余地があります。例えば、脳外科の手術後、明らかな異常はなくなっても、自分では自覚のない「高次脳機能障害」になっているかどうかは、脳外科の先生の判断だけでは評価が難しいことが多いです。理学療法士、作業療法士によるWAISⅢ成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence ScaleThird Edition)を用いた評価、神経内科による脳波の評価などを行うことで気づかなかった異常に気付くこともあります。
知的能力・認知能力・記憶に関する検査だけでもWISC-Ⅳ知能検査、WISC-Ⅲ知能検査、DN-CAS認知評価システム等、WAIS-Ⅲ成人知能検査などがありますが、そのような検査をしてもらっていない方は、評価が変わる可能性もあります。

脳外科、神経内科、整形外科、外科、形成外科、リハビリテーション、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科等がかかわる領域で、機能評価のプロによる評価が必要な方がいます。お気軽にご相談ください。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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