❺医療ミス・医療過誤の被害者が考えておくべき、「解決」までの時間

医療ミス・医療過誤の被害にあってしまったとき、患者様やそのご家族が、加害者である医師や病院との関係で、「解決」に至るまでには、どのくらいの時間が必要となるでしょうか。
患者様やそのご家族が、医師や病院にどのようなことを求めておられるかによって異なりますが、当事務所の多数の経験事案から、一般的なお話をさせていただきます。

1 説明を求めたい

元気になって帰ってくると思っていた大切な家族が、入院先で意識が戻らず、退院の見通しが立たない状態になってしまった。
医師に説明を求めても、よくわからない。
そのようなとき、医師、病院関係者に、説明会の開催を求めることがあります。
患者様ご本人で請求される場合もありますし、当事務所にご依頼いただき、弁護士同席で、弁護士から質問を行うこともあります。
医師や病院関係者が説明会の開催に応じ、説明会で患者様、ご家族様の納得が得られる場合は、説明会までで解決することになり、比較的短期間で事件が「解決」することになります。
ただ、医師の説明が、説明会においても不十分であったり、不合理な言い訳に終始したりする場合は、裁判所を介した手続きに移行することもあります。

2 話し合いで解決したい

医療ミス・医療過誤を起こした医師・病院との話し合いにより、事件を早期解決したい。
そう思われる患者様やご家族も多くおられます。
しかし、医療ミス・医療過誤により生じた損害の賠償、つまり、お金の問題が話し合いに含まれる場合は、医師や病院側を担当する弁護士が出てきて、医師・病院担当者は話し合いに出てこないことが多いです。
それは、医療ミス・医療過誤の損害を賠償するためには、医師・病院が加入している保険との兼ね合いがあるため、法律的な観点から、弁護士が賠償額を検討する必要があるためです。
患者様、ご家族様が自ら医師・病院側の弁護士とお話合いにより解決される事案もまれにありますが、医師・病院側からの損害賠償の提案が適正かどうか、損害賠償の相場を調べ、慎重に判断する必要があると思われます。
医師・病院側と直接お話合いをされる方法の他には、調停という裁判所で行う話し合いや、ADRという弁護士会などが主催する話し合いの場で解決を図る方法があります。
このような話し合いによる方法の場合、医師・病院側からの回答の速さにもよりますが、当事務所では、相談に来られてから半年~1年程度かけて十分検討し、依頼者とも相談を重ねた上で慎重に解決を図るよう心がけています。

3 裁判を起こしたい、訴訟の場で決着を図りたい

説明会や話し合いで解決できず、裁判が必要になった場合や、そもそも、相手方が誠意ある対応をせず、説明会にも話し合いに応じない場合など、患者様やご家族が、訴訟の場(裁判・訴訟手続)での解決を図りたいケースでは、2~3年程度の時間が必要になると考えていただく必要があります。
医療ミス・医療過誤訴訟は、お金の貸し借りなどとは異なり、専門知識が必要で、加害者となった医師や看護師が裁判所で「尋問」を受けたり、事件とは関係のない第三者の専門医が事件の争点について客観的な意見を述べる「鑑定人尋問」という手続きを経たりする場合があるため、他の裁判と比べて長い時間がかかります。
納得できる判決が得られず、上級の裁判所に不服申し立て(控訴、上告)をする場合は、さらに長い時間がかかることになります。

どのような解決を求められる場合も、患者様やそのご家族のみでは、精神的、技術的にご負担が多いと感じられることがあると思います。
そのようなときは是非、ご遠慮なく、弁護士にご相談いただければと思います。

関連記事

医療過誤の流れ

解決事例

代表弁護士・医師 富永 愛

この記事を書いた⼈(プロフィール)

弁護⼠法⼈ 富永愛法律事務所 代表弁護⼠
医師(外科) 富永 愛

医学部卒業後、民間病院で現役外科医として勤務しつつ医療専門に特化した富永愛法律事務所開設。現役医師・弁護士として、開設以来、医療過誤・医療ミスを専門に扱う事務所として、医療に関わる全ての法律問題を迅速に解決することを目指しています。病院・診療所・クリニック・介護施設・薬局・老健施設等、医療に関わる問題は、お気軽にご相談ください。