Home 9 判例 9 近視手術(放射状角膜切開術 RK手術)で医師の説明責任が厳格に問われたケース

近視手術(放射状角膜切開術 RK手術)で医師の説明責任が厳格に問われたケース

岡山地裁 平成10年4月22日 判時1672号100頁 
眼科診療所でRK手術を3回受けたものの効果が見られず、スターバースト現象などの後遺症が発生したケース。RK手術は、緊急性や必要性が認められない反面、手術結果が患者の希望通りになる必要性が高いと評価されやすい。この点は、美容外科に近い説明責任が認められている。特にこのケースでは、合併症のリスクについて説明がなかったとして説明義務違反を認めている。

術後に視力の低下や乱視などの障害が生じたケース(5人分)について、技術的な問題があったとして医療機関の責任を認めたケース(大阪地裁 平成14年8月28日 判時1820号74頁)もある。同様に、LASIK手術でも、説明責任と手術手技の両方が問題になっている。例えば、大阪地裁 平成12年9月22日 判時1740号60頁では、説明責任と手術手技上の両方に問題ありとされている。

近視手術は、今後も実施されるケースが増加する傾向にあると思われるが、一般的に行われるようになってきたからといって説明責任、手術手技に要求される水準は、高くなることはあっても下がることはない。これらの判決のようなケースは今後もあると思われる。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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