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虫垂炎の診断が遅れて死亡したケースについて医師の責任を認めた

東京地裁 平成7年3月23日 判時1556号99頁
急性虫垂炎の診断が遅れたために適時に適切な治療が行われず、化膿性腹膜炎を起こしたケースは非常に多い。しかし、急性虫垂炎の診断は、経験豊かな消化器外科医でも難しいことがある。
この判例では、45歳男性心窩部から臍部に間歇的な腹痛と圧痛を認めたが、筋性防御は認めず、体温は36度台、腹部レントゲンで異常を認めなかった。ブスコパンの点滴静注により腹痛はほぼ消失したため、帰宅させたが、その夜に自宅で死亡した。判例は、死因を得蘇生虫垂炎、化膿性腹膜炎の起因菌のエンドトキシン・ショックと認定し、患者の腹痛の経過、白血球増多、急性虫垂炎の頻度の高さから考えて、担当医、少なくとも(急性虫垂炎に典型的な)マックバーネー点、ランツ点などの各圧痛点検索、直腸指診および直腸内体温測定を実施すべき義務があったのに、これすら行っていなかったことから、医師の責任を認めた。また、急性虫垂炎と確定診断した場合には、抗菌薬投与を行うべきであり、抗菌薬の投与を行わなかった点についても責任を認めている。