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Q.カルテ開示請求をする前に、確認するべきポイントは?

A.保全手続にしなくてもよいのか、十分検討が必要です。

 カルテ等の自己開示請求があると、医療機関側は提訴されるのではないかと考えてカルテ等の破棄、改ざん、隠匿が行われる可能性があります。最近は電子カルテシステムを採用している医療機関に対しては修正履歴も開示してもらうことによりそのような心配はかなり軽減されましたが、診療記録は、医療過誤・医療事故事件の証拠になる重要な書類です。大切な証拠が改ざん・隠匿されてしまうと、医療過誤があったとしても、裁判で立証が十分にできないことになります。そのためまだご自身でカルテ開示を受けていない場合で、紙カルテ方式の医療機関からカルテ等を取り寄せるときは、証拠保全手続きを利用したほうが安全な場合がございますので予めご相談ください。

 最も重要な相手方医療機関に対して、不信感がある、などの場合は証拠保全手続きが安全です。最も重要な相手方医療機関のカルテを入手してから、関連する前医や後医からの診療記録を入手する場合に、カルテ等の自己開示請求をすることがあります。ただし、注意点として、最も重要な相手方医療機関に対する証拠保全を先に実施してから、前医や後医にカルテ等の自己開示請求をする必要があります。医療機関からの連絡で、相手方医療機関が証拠保全前にカルテ等の改ざん・隠匿がなされる危険が生じるからです。

 カルテ開示にするか、証拠保全をするか、迷っておられる場合には、まずは弁護士に相談してください。

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医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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