薬剤の重篤な副作用、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性融解壊死症の治療について医師の責任を認めた

福岡高裁 平成1459日 判例時報180336
スティーブンス・ジョンソン症候群による広範な皮膚病変により、皮膚の細菌感染に対する防御機能が失われ、皮膚障害に起因する大量の浸出液による体蛋白の喪失、副腎皮質ステロイド薬大量投与により易感染状態になって、緑膿菌の可能性を否定できないグラム陰性桿菌に感染し、スティーブンス・ジョンソン症候群の増悪とともに、急速に病態を悪化させ、多臓器不全に至ったものとした。
担当医は、緑膿菌汚染を疑った時点で、直ちに血液培養検査により感染の有無や起炎菌を同定し、薬剤感受性検査によって起炎菌に最も有効な抗菌薬を選択して投与する一方で、緑膿菌感染を促す抗菌薬の投与を中止し、また、起炎菌が同定される前に、経験的抗菌薬治療を開始し、さらに、皮膚の壊死部に対し入浴療法などの治療を行うべきであったとして、医師の過失を認めた。

スティーブンス・ジョンソン症候群、皮膚粘膜眼症候群と、中毒性皮膚融解壊死症は、薬剤の副作用や、そのほかの様々な理由によって発症する全身性反応性皮膚障害である。中毒性皮膚融解壊死症は、重症型だと考えられている。
薬剤の副作用だけではなく、感染が原因になることもあり、全身の口、陰部、目などにただれ、腫れ、充血のような炎症を伴う発疹が出現する。進行が急激で、発熱から、全身の発疹が重症化するまでの早期に診断し治療を行わなければ死に至ることもある。皮膚のバリア機能が低下し、治療のためにステロイド投与をすることで、易感染状態に至って感染症が重篤化し、感染が原因でなくなることもある。
このケースでは、ステロイド投与とシーツ交換しか行わなかった医師に対して、感染症の兆候があったのに、感染源の調査に必要な検査を実施しなかった点、感染症に対する抗生物質を投与しなかった点を重視し、医師の責任を認めた。