近畿地方の地方裁判所で、当事務所が担当している医療裁判の証人尋問(医師・遺族)が行われました。 5年前、頭痛を訴えて救急搬送された70代の女性が、慢性硬膜下血腫を2回も見落とされ亡くなりました。2回目は、救急搬送され頭痛がひどくて受診していましたが、「患者の訴える頭痛が二次性頭痛(何かの病気が原因で起こる頭痛)である可能性を考え、CT検査を実施すべきであったか」否かが争われていました。 この日、法廷で証言したのは、2回目に救急外来で患者を診察した医師と、亡くなった患者のご遺族(息子さん)でした。 法廷の様子...
たん吸引不十分で医療ケア児死亡 岩手医大病院で医療事故
岩手医大病院(岩手県矢巾町)は30日、重い障害で体をほとんど動かせない10代男性が小児病棟に入院中の昨年10月、たんの吸引が不十分だったため窒息し、低酸素血症で死亡する医療事故が起きたと発表した。付き添いの母親が不在時に発生し、病院は吸引などの介助が日常的に必要な「医療的ケア児」に対する理解不足などが背景にあったと説明した。(産経ニュース) この報道を見て、10代まで懸命に吸引処置を続けてきたご家族の無念を思います。...
杉並区医師会で富永弁護士が講演を行いました!災害現場で求められる医療体制とその法的課題とは
日々、医師・弁護士として医療ミスに遭われた患者様やご家族を救済するために活動をしていますが、医師向けに講演の依頼をいただくことも多くなりました。 先日も、杉並区医師会にお招きいただき、講演を行いました。 講演タイトルは「災害現場の法律と善きサマリア人」。 きっかけは、昨年の福島県医師会で富永の講演を聴講された医師からのご紹介で、災害時の医療提供体制と法的な課題について話してほしいというご依頼でした。 このコラムでは、講演の内容を実際のスライドとともに一部ご紹介します。 善きサマリア人法とは?...
協力すればご褒美3単位!院内医療事故調査 おかしくない?
日本医療安全調査機構のホームページに、院内事故調査に協力すれば『専門医資格更新』の点数をあげますよ、という専門医に対する案内が載っていました。 多忙な医師業務に加えて、調査に参加することへの労いとのことですが、その内容には首を傾げたくなる内容が… 院内事故調査とは? 医療機関で事故が発生した場合、速やかに原因を明らかにするための調査をしなければならないと厚生労働省令で定められています。 医療法 第6条の11...
がんの見落としは賠償金額が少ない?!がんの見落としについて弁護士への相談をお考え方へ
日本では今や2人に1人が癌になるといわれています。 早期発見が重要視されるようになり、検査法や治療法が進歩したことで救命率は上がっていていますが、がんの見落としによる法律相談・医療紛争も増えています。 当事務所でも「がんの見落としで病院に責任を問えるのか」、とお問い合わせをいただくことが多くあります。 このコラムでは、がんの見落としについて“病院に責任を問えるかどうか”のポイント、賠償金額の目安について解説します。 がんの見落としについて、弁護士への相談をお考えの方は参考にしてください。 見落とし=医師のミスとは言えない...
日本の脳外科医療の闇【後編】「京都第一赤十字病院 脳神経外科学会が研修施設認定を停止」報道を見て思う
2024年4月5日、NHKが報じた京都第一赤十字病院の研修施設としての認定停止のニュース。 最近では2022年に赤穂市民病院が日本脳神経外科学会から同じく専門医研修施設としての認定を停止される処分を受けています。 京都市にある京都第一赤十字病院の脳神経外科では、4年前、脳腫瘍の手術を受けた70代の女性が腫瘍ではない脳の組織を誤って摘出されるミス以外にも、不必要で禁忌であった腰椎穿刺が実施され20代の女性が死亡する事故など、10件以上の医療ミスを疑われる死亡事例があったと報道されています。 学会の理事長が交代したタイミングでの措置...
日本の脳外科医療の闇【前編】京都第一赤十字病院の行政指導内容を開示請求してみました
京都第一赤十字病院(以下、京都第一日赤)は、度重なる医療事故や、京都市から行政指導を受けたことなどをめぐり、日本脳神経外科学会から専門医になるための研修施設としての認定を2024年3月31日付けで停止されていたことがわかりました。 学会によると認定の停止は異例の措置だといい、病院の管理体制の改善が強く求められています。当事務所でも、京都第一赤十字病院の脳神経外科が関わる診療行為で医療ミスがあったという相談があり、2024年1月に行われた京都市の行政指導や改善要請を注視していたところでした。...
ピルを処方しただけなのになぜ2億円の判決に?薬の処方ミスで賠償命令 北海道・八雲町の病院
北海道八雲町が運営する八雲総合病院が薬の処方を誤ったため血栓症を発症し重度の障害を負ったとして、北海道南部の女性(59)と夫が町に約2億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、函館地裁は8日、町に約1億9400万円の支払いを命じた。町側は処方と発症の因果関係を争っていた。判決理由で五十嵐浩介裁判長は、約6年8カ月間で計34回の処方のうち、最後の処方が発症につながったと判断。また加齢で血栓症のリスクが上昇したのに、検査や経過観察を怠る注意義務違反があったと認定した。判決によると、病院は過多月経などを訴えて受診した女性に対し2007年3月...
救急搬送されたのに10代で死ぬなんて!神奈川県立こども医療センターで手術後に10代男性死亡
医療過誤か、10代男性死亡 神奈川、事故調査委設置へ 2024年5月2日 (木)配信共同通信社 神奈川県立こども医療センター(横浜市)は1日、2月に緊急入院し、手術後に死亡した10代男性患者について、医療過誤の可能性があると明らかにした。予期しない事態だったとして、事故調査委員会を設置し、適切な治療が行われたかどうか調査するとしている。...
東海中央病院、ひとりの医師の手術で3人が出血性ショックで死亡した事故、院内事故調査が終わった⁉️
「岐阜県各務原市の東海中央病院によると2016年から2022年までの6年間で、同じ男性外科医が執刀したがん患者の手術中に、3人が死亡していた医療事故。いずれも患者の肝臓を切除する手術で、死因は出血性ショックでした。男性外科医は去年6月に自主退職しています。3例とも遺族に説明を終えていて、医療事故調査・支援センターに報告した。松井春雄病院長は文書で、「亡くなられた患者さまのご冥福を祈り、ご遺族に深くお詫びする。再発防止に職員一丸となって取り組む」などとコメント」との続報が報道されている。(Yahoo!ニュース)...