重症な病気や手術等でカテーテルという管を身体に入れることがよくあります。中心静脈カテーテルといわれるもので、大きな血管の近くまで管の先端を入れるので、通常の点滴では使えないような濃い点滴を使うこともできるものです。このカテーテル、医療現場にとっては不可欠なものになっていますが、人工物を体内に入れるため、カテーテル感染といわれる感染源になってしまうこともあります。カテーテルの管に病原菌が住み着くと、高熱が出る全身感染症になることがあります。感染源になるのは、細菌やウイルス、真菌等様々です。その中で特に、カテーテルを入れていない通常状態で...
良性なのに手術をされたら
がんの診断は年々早く正確にできるようになってきました。胃カメラ、大腸ファイバー、CT、エコーなど色々な検査で早期にがんを切除し、完治している患者さんはたくさんいます。一方で、画像診断がどんなに進んでも、まだ手術前には診断が難しい臓器もあります。例えば肺がんは、CTで影が映ってもがんと断定できないため、生検目的を兼ねて切除手術を行う必要があるケースもあります。肝臓がん、胆管癌、膵臓癌等も術前の生検が難しい臓器であるために術前診断が困難で、がんであることを前提に手術をすることがあります。...
出産時のトラブルがあったら
出産時のトラブルは、本来幸せな瞬間に予期せぬ結果が生じるため、悲惨です。早く帝王切開手術してくれていれば助かったのに、というトラブルは今も多いです。出産時のトラブルは、医療機関にとっても患者さんや家族にとっても望ましいことではないため、産科医療補償制度ができて8年経ちました。...
手術後に予想外のことが起こって死亡した50代男性のケース
「手術が終われば2週間くらいで帰れますよ!」と主治医からいわれたのに、手術後に大出血を起こして1ヶ月後に大学生の子供たちをのこして死亡した父。早期の大腸がんを切除して1ヶ月後には仕事に復帰するはずの大黒柱を襲った悲劇でした。2週間で帰れるといわれたのになぜ?何が起こったのか?家族は弁護士に相談に行きますが、病院に責任を問うのは難しいといわれます。諦めきれず、その後、知り合いを伝って当事務所に辿り着きました。...
がんの再発は見つけなければいけないのか?
結論からいうと、がんの再発は、早く見つけてもあまり意味がないことがある。近年、がんに関わる法律相談は年々増加傾向にある。なかでも、がんの見落とし相談は、分かりやすい問題であるため増えている。がんは早期発見・早期治療が重要だといわれているのは、診断が早いほど完治できる可能性があるからである。 しかし、がんの再発は、そうではない。がんの再発は、初回の治療で適切な治療を行ったにもかかわらず、再度、同じ種類のがんが出現することである。この再発は、見落としといえるのか、は実は悩ましい問題を含んでいる。...
今までにない胸の痛み!大動脈解離の見落とし
急性大動脈解離は、致死率の高い疾患である。急激な、今までにない胸の痛みが背中から腰に移動したら要注意である。医師は重大で致死率の高い疾患から考えていかなくてはならない。「今までにない胸の痛み」で来院した患者には、①心筋梗塞、②大動脈解離、③肺塞栓の3つをまず考える。...
がん誤診。がんの手術をしたのに、がんがない?!がん診断の落とし穴
がんを根治するためには早期発見・早期治療が必要といわれるが、がんといわれて手術をしたのに、「がんがありませんでした」といわれるケースがある。患者さんはたくさんの恐怖と闘ってきたにもかかわらず、がんがない、ってどういうこと?と医療機関への不信感でいっぱいになる。あり得ない話と思われるが、医療現場では一定の頻度で起こっていることである。なぜこんなことが起きるのか。原因は、がん診断に複数の医師が関わるところにある。 乳がんといわれたのに、乳房を切除後に、がんがないといわれたケース...
脳梗塞の特効薬rt-PAと裁判例
脳梗塞は、早期に治療すれば改善が見込める疾患になりました。急に手足の麻痺が生じたときは急いで病院にいけばアルテプラーゼ®という特効薬を使って後遺症を起こさないようにできる可能性があります。この薬剤は、脳梗塞から4.5時間以内に使用する必要がありますので、症状が出てからすぐに病院に行くことが重要になります。 では、裁判では、脳梗塞の見落としは裁判所で認められているのか?...
乳房が真っ赤になった、炎症性乳がんの見落としは医療ミスか?
乳がんはしこりができるだけではありません。頻度は低いですが、炎症が起こっているよう乳房が真っ赤に腫れて乳房全体にひろがっていく炎症性乳がんというタイプがあります。乳がんはしこりができる、と思われることが多いためなかなか診断がつかない場合も多いです。患者さん自身も、赤くなって腫れてきたことを乳がんだと思わず、皮膚科や外科などに行って抗生物質をもらったけれどもよくならない、というパターンも多いです。 炎症性乳がんは悪性度が高い?...
胆石を放置されたら医療ミスか?
ケース:リハビリ目的で転院した、70歳男性。脳梗塞後のリハビリ目的の入院であったが、おなかが痛くなり緊急手術をしたが死亡してしまった。患者さんの家族は、以前から胆石があったのに放置されていたのではないのか?という思いで当事務所に相談がありました。初めに担当した弁護士さんは、患者さんの家族の言う「胆石を放置した!」ことに焦点を当てていて、紛争の問題点を理解していない様子でした。 胆石は、ありふれた良性疾患?...



